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釧路市医師会方針

令和6年度 釧路市医師会事業計画

各専門部は、令和6年度 釧路市医師会事業計画を踏まえつつ、以下の事業を中心に活動する。

 1月1日に発生した能登半島地震につきましては、犠牲になられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、未だなお日常生活に戻れていない被災者の皆様へ心よりお見舞いを申し上げます。釧路市医師会としましては、日本医師会を通して石川県医師会への支援金を拠出し、一日も早い被災者の皆様の日常回復を祈念いたします。
 さて、2019年12月中国で発生した新型コロナウイルス感染症が、全世界を恐怖に陥れてから4年半が経過した。思い返すと、この間わが国においては約3300万人以上が感染したが、国際的にみても人口当たりの死亡者数や感染者の致死率の低さなどの医療実績を積み重ねてきた。これは、感染防止に努める国民の真面目な対応とともに、各医療機関がそれぞれの役割を担い献身的に診療に従事してきた賜物と考えられる。新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に感染症法上の位置づけが5類感染症に移行し、今年4月より改正感染症法が施行され関連する特例が廃止され通常診療になり、今後は新興感染症に対応できるように各医療機関の機能に応じた適切な医療体制の整備が求められる。
 釧路市においては、5類移行に合わせ外来対応医療機関の数も増加し、大きな混乱もなく現在の通常診療に至っており、4年半にも及ぶ暗中模索の長いトンネルをやっと抜けることができた。今後、新興感染症が不幸にも発生した場合に備え、私たちは釧路市の結束した医療連携を維持し、さらにこの4年半の教訓、経験を生かして地域住民の皆様に安心して医療を提供できるよう、医療体制を再整備しなくてはならない。
 そうした中、今年度の釧路市医師会事業にはいくつかの重要案件がある。
 一つ目の課題は、休日夜間急病センターの設立である。今後、開業医数の減少と医師の高齢化、看護師等の医療資源が減少することを見据え、将来に渡って持続可能な救急医療体制を構築するため、昨年来から釧路市と協働で釧路市休日夜間急病センターを8月に開設する準備が進んでいる。このセンターの診療は休日・夜間の急病患者を対象とし、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの検査を行ってきたこれまでの通常診療と異なり、応急処置と2次救急へのトリアージを目的とした初期救急医療を提供する。現在、26の管内医療機関からの医師派遣が確保され、さらに外部からの出張医の確保を予定している。迅速抗原検査を基本的に行わないことによる市民の混乱を避けるために、行政と協働して北海道や釧路市の救急医療の逼迫した状況やセンターの診療内容を、市民講座等を通して広報、周知に全力を挙げ、時間をかけながらも市民の理解を得るとともに、一次から三次までの救急医療担当医療機関の相互理解と連携、協力をさらに緊密にする必要がある。
 二つ目の課題は釧路市医師会看護専門学校の学生数の減少とそれに伴う経営問題である。人口減少、少子化、看護大学の設立やコロナ禍など社会的な側面もあり、ここ数年は受験者数、入学者数の減少が顕著になり定員割れの状態が続いている。これは全国の看護専門学校に共通した問題で、日本医師会は厚生労働省に財政支援、看護職希望者増につながる広報活動等を求めているが、地域では医師会や会員の財政負担が増し閉校、統廃合を余儀なくされた学校も出ている。学生確保のために地域で可能な取り組みとして、社会人や主婦層も受験しやすい入試制度の導入、各種広報など募集方法の強化、行政との協働で奨学金制度の支援も備えた管内の自治体推薦枠も稼働させる。看護師不足は医療機関の存続、医療の質の低下など地域医療の崩壊にも直結することを、行政、医師会員、地域住民が危機感を共有し、一丸となって地域でも可能な対応をしていかなければならない。
 三つめは精神科診療で、釧路管内では一昨年から基幹病院の精神科診療の大幅縮小や休診、クリニックの閉院等が続き精神科医療の逼迫が社会問題となっている。道や市などの地域や国の医療機関、民間医療機関、行政が協力して持続可能な精神科医療体制を構築することが基本であるが、その対応として精神科医師の確保、非専門医による精神科医療への参加、医療多職種連携、近隣も含む地域社会との連携強化など総合的なアプローチが必要となる。精神科医の確保が困難なのは医師偏在の全国的問題が基本にあり、早期に実効性のある解決策を行政に求めるとともに、地域としてできることとして既に釧路市で行っている診療所等の開設助成金制度の周知や、医師会系求人サイト等での広報を強化して医師確保に努めたい。さらに行政や公的医療機関によるメンタルヘルス対策としての相談窓口の設立や、増加している軽症患者の外来診療機能の強化のため、地域の専門医、非専門医との連携を確保した上で、オンライン診療に参画できる民間セクターを募りたい。
 関連事業では、健診センターは健診業務として大きな逆風だったコロナ禍においても比較的安定した経営状況だったが、今後さらに人口減少、主要企業の撤退など社会状況の影響を受けることが予想される。今年度は巡回健診用車両が新規納車したことで、より効率よく顧客のサービスの多様化に対応し、また順調に更新された医療器械備品で精度管理と業務効率をさらに高めることによって安定経営の継続を目指したい。
 また、来年7月6日に第57回北海道ドクターズゴルフ大会が10年ぶりに釧路市で開催される。参加人数は約80名を予定しており、円滑な大会運営と参加者が親睦を深めて安心して楽しめる大会になるよう、役員、会員の協力のもと開催に向けて準備を行いたい。
 一方、日本の医療に目を向けると、医療DX、ICT化は新たな局面を迎えている。政府は医療DXの推進に関する行程表を示し、昨年4月オンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されており、今年度秋には健康保険証が廃止され、マイナンバーカードによる健康保険証利用を基本とする仕組みに移行される。2030年までには医療情報を全国で共有できるシステムの導入や電子カルテの標準化を目指している。しかし一方、マイナンバーカード保険証の利用率が伸びない状況での健康保険証廃止は、医療現場の混乱を招くことは必至で、情報セキュリティの問題や個人情報保護の課題も常態化している中、その進め方が医療機関や患者の意向を十分配慮したとは言えず拙速との疑念も禁じ得ない。地域医師会として現場の状況を北海道医師会、行政に情報提供し、将来の利便性を理解しながらも診療に混乱が無いよう慎重に対応していくよう提言していきたい。さらに地域医療構想、医師の働き方改革、医師偏在解消の三位一体の議論は、実効性のある到達点がいまだ定まらず、安易な病院再編統合、働き方改革による医師確保の一層の困難化は、救急医療をはじめとする釧路市の医療崩壊に直結することを切実な現場の声として行政に伝えたい。
 今年度は将来にわたる地域医療を健全に継続させるための試金石となる年度になると考えられる。釧路市医師会は行政とも緊密な連携をとり医療、介護、福祉が三位一体となって安心して生活ができる街作りに参画し、地域住民、医療従事者が健康で健全に生活、仕事ができる地域社会の構築を目指したい。

 新たな年度においては次に掲げる各部の事業に精力的に取り組む所存です。会員各位のご理解、ご協力をお願い致します。

  1. 総務部
    1)定款・諸規定の整備に関すること
    2)各種会議の効率的開催
    3)勤務医の入会促進(医療関連事業部と連携)
    4)健全会計保持のための対策研究(財務部と連携)
    5)新入会員に対する説明機会の確保
    6)医師会組織の更なる強化
    7)個人情報の保護・診療情報の開示についての情報提供
    8)一般社団法人移行後の会務の適切な管理・運営
    9)関係施設への情報の徹底
    10)会員の個人情報に関すること
  2. 医療政策部
    1)医療政策の研究・提言、情報・資料の収集、整備、提供
    2)医療制度改革に関する情報・資料の提供(勤務医、開業医協同作戦)
    3)地域保健・医療・福祉へのより積極的な取組と協力
    4)地域医療住民フォーラムの開催及び支援
    5)環境保健対策の推進
    6)医師会活動の記録に関すること
  3. 医療保険部
    1)診療報酬体系に関する情報の提供
    2)保険医・保険医療機関の指導・監査に関する行政機関等、関係機関との連携強化
    3)労災・自賠責医療に関すること
    4)医薬品に関すること
    5)特定疾患(難病)に関すること
  4. 情報広報部
    1)道医総合情報システムの効率的な運用と情報提供
    2)釧路市医師会報・釧医通信の充実・会員への広報
    3)ホームページの充実と総合情報の発信
    4)医療DXの推進
  5. 健診部
    1)健診センターの充実(事業所健診・市町村健診)
    2)健診センターの活動推進と運営
  6. 地域保健部
    1)新興感染症等への対応と情報提供
      ①新型コロナウイルス感染症等への対応(5類移行後の診療体制づくり)
      ②ワクチン接種への対応
    2)地域保健医療の推進(母子保健・乳幼児保健・少子化対策・特定健診・保健指導・生活習慣病)
    3)学校保健活動・学校医の身分に関すること
    4)糖尿病スキルアップ・セミナーの開催
    5)各種ワクチン接種事業の推進
    6)健康スポーツ医に関すること
    7)感染症サーベィランス情報の提供に関すること
    8)保健所に関すること
    9)うつ病・自殺予防対策事業の推進に関すること
  7. 医療安全部・医事法制部
    1)医の倫理の啓発と自浄作用の強化推進
    2)医療安全推進週間への積極的参加
    3)診療情報等に関する保健所との連携強化
    4)医事紛争の適正・迅速処理と医師賠償責任保険の理解徹底
    5)医事法制に関すること
    6)医療相談に関すること
    7)医療安全に関するマニュアル等の整備
  8. 学術部
    1)日医生涯教育講座の積極的な開催
    2)学会及び教育・研究機関との連携強化
    3)各種研修会・講習会への支援・協力
  9. 産業保健部
    1)地域産業保健センター事業に関すること
    2)産業医研修事業の充実
    3)研修会等の情報提供
    4)産業医と精神科等専門家とのネットワークシステムの構築
  10. 地域福祉部
    1)介護保険制度並びに障害者自立支援制度への対応
    2)介護保険関連情報の収集・提供
    3)地域福祉団体との連携強化
    4)母子福祉・児童福祉・障害者福祉・精神保健福祉に関すること
    5)地域包括ケアシステムに関すること
  11. 救急医療部
    1)救急医療体制の保持及び釧路市休日夜間急病センターの管理運営
    2)救急医療体制の確保(メディカルコントロール体制構築の支援等)
    3)救急医療機関の相互連携強化
    4)災害時医療救護訓練への積極的参加及び釧路管内医療救護体制の構築
    5)ドクターヘリ運用体制の強化
    6)カンタン救急蘇生講習会の継続開催
    7)釧路市休日夜間急病センターの早期構築に向けて(釧路市夜間急病センターに集約)
  12. 医業経営・福利厚生部
    1)道医主催医業経営講習会への積極的参加(患者接遇研修会を含む)
    2)税制および年金に関すること
    3)福利厚生事業の見直し・充実検討
  13. 医療関連事業部
    1)医師の労働環境に関すること
    2)釧路市医師会看護専門学校の運営推進
    3)勤務医の組織強化(総務部と連携)
    4)勤務医連携の組織強化(逆紹介の促進)
    5)女医会への支援
    6)男女共同参画に関すること
  14. 財務部
    1)一般社団法人移行に伴う組織の強化
    2)健全会計保持のための対策研究(総務部と連携)
    3)会計・経理の適切な運用
  15. 地域医療部
    1)地域医療に関すること
      ①医師確保に関すること
      ・開業支援金の設立(釧路市ホームページ掲載 令和5年4月1日)
      ②地域医療連携に関すること
      ③がん対策に関すること
      ④へきち医療に関すること
      ⑤医療機関の運営に関すること
      ⑥くしろCKDネットワーク委員会の運営に関すること
      ⑦外国人傷病者医療の対応について
    2)医療施設に関すること
      ①医療施設・施設整備に関すること
      ②共同利用施設に関すること
      ③精度管理に関すること
      ④医療廃棄物に関すること
    3)病院団体との連携に関すること